研究テーマ

自動車用ATの振動現象に関する研究

自動車用トランスミッションとはエンジンで発生した動力を適切にタイヤに伝達させるための装置であり,大きく分けるとマニュアルトランスミッション(MT)とオートマチックトランスミッション(AT)の2種類があります.

MTとはその名の通り手動で操作するトランスミッションであり,噛み合う歯車の組み合わせを変えることでギヤ比を変更します. 一方,ATとはコンピュータにより自動でギヤ比を変更するものであり,遊星ギヤを用いた歯車列の歯車同士や歯車と軸などを油圧によってつないだり切り離したりして,ギヤ比を変更します.(図1参照)


Fig.1 自動車用AT(アイシン・エィ・ダブリュ株式会社HPより)

エンジンはシリンダ内でガソリンなどを燃焼させることで動力を発生します. そのため,常に一定の力(トルク)が発生しているわけではなく,爆発の間隔に応じて発生するトルクが変動します. このトルク変動は周期的な強制力となり,トランスミッションのねじり振動を発生させます.

Fig.2 トルクコンバータ

また,ATではギヤ比を変えるときのショックをやわらげるために,トルクコンバータ(図2)と呼ばれる一種の流体継ぎ手がエンジンとトランスミッションの間に取り付けられています. さらに,流体継ぎ手では伝達する動力の損失が起こるため,トルクコンバータが不要な領域ではトルクコンバータの入力軸と出力軸を直結するなど,複雑な制御が行われます. このトルクコンバータがATの振動特性をより複雑なものにしています.

この研究テーマでは,ATの振動現象を低減するための対策について,企業との共同研究を行っています. ATの解析モデルの検討や,企業の試験装置を用いた実験による解析の検証などを行っています.