国立大学法人鹿児島大学 工学部 先進工学科 機械工学プログラムMechanical Engineering Program, Kagoshima University

大高研究室

流体とは,一般には気体と液体の総称です.流体工学とは流体の流動現象を伴う技術,飛行機や車のように固体の外部を流れるものから,物体内部の流れまで,非常に広範囲の技術を扱います.大高研究室では,主に,以下のテーマに取り組んでいます.

◎ミニ/マイクロチャンネル内気液二相流
 気液二相流とは,気体と液体の流れを言います.気体や液体のみが流れる単相流と比較すると,気液二相流の特徴は,気体や液体の流量により,その流動様式が異なるところです.液体が多く気体が少ないときは,炭酸飲料中で見られる気泡流となりますが,液体が少なく気体が多いときは,スプレーなどで見られる噴霧流となります.
 工業的には,気液二相流は,ボイラや蒸気発生器など大型機器ならびに家庭用自動車用クーラやラジエ-タなど熱交換器の他,燃料電池等の微細流路内でも観察できます.最近は,二種類以上の液体を効率的に混合させるために,マイクロリアクターと呼ばれる機器で気液の流れが使用されるケースが増えてきました.
 そこで,本研究では,直径が数mmから0.01~0.5mm程度の細い流路内を流れる気液二相流の挙動を調べています.細い流路の流れを調べている理由は,従来の太い流路と比べて,細い流路では,気液表面に作用する粘性力や表面張力による力の影響が慣性力の影響よりも強くなるため,その影響を調べる必要があるためです.具体的には,流路の直径を変えたときの,気液二相流の流れ(圧力損失や気泡の長さなど)に及ぼす粘度や表面張力などの影響を調べています.

◎火山灰フィルタ性能試験
 桜島の降灰を捕集し,室内への侵入を防ぐフィルタの性能試験を企業と共同研究をきっかけに始めました.桜島の火山灰を複数の異なるフィルタでふるいにかけることで,フィルタを通過する灰と捕集する灰の量,そしてそれぞれの灰の粒径分布を測定し,フィルタの捕集効率を調べています.
 この研究を始めるきっかけとなったのは,桜島の降灰の見られる地域では,夏でも窓を閉め切り,エアコンを使う方々が多いように感じたためです.これは鹿児島の地域性かもしれませんが,降灰の中でも,自然風を部屋に取り込めるようなフィルタを開発し,鹿児島の人々の生活をより快適にしていきたいという思いです.
2017年度、大学院生が学会で発表した主なテーマ名
 プレゼンの能力を向上させるためにも,学生が学会で講演発表することを推奨しています.
○マイクロチャンネル内気液二相流の流動現象に及ぼす管径と液物性の影響
○マイクロチャンネル内気液二相流のスラグ長さに及ぼす管径と液物性の影響
○高粘性液体を用いたマイクロチャンネル内気液二相流の流動現象
その他,2018年3月に,講演発表を予定しています.2017年度は計5件です.

研究室アピール

研究室のスタッフは,大学院生を含めて8名です. 例年,大学院に進学する人や大手企業に就職する人それぞれですが,研究に遊びに,みんなで楽しい大学生活を送っています.
 活発な議論ができる学生を多くの企業から求められています.企業ではグループで活動することが多いためです.そのため,研究上,分からないところがあれば,気軽に聞ける環境を作ることに心がけています.大学院生に講演発表を推奨しているのは,自分自身の考えを学外の方々に発表する機会を提供するためです.自分の考えを他者に伝える能力を向上させることも,企業で求められています.
 当研究室では,研究インターンシップへの参加実績(2017年度1名)があります.当該学生は,企業の担当者やコーディネーターから積極的に研究に取り組む姿勢に対して,高い評価を受けました.

<研究室の学生からの一言>
【研究室の雰囲気】
●異なった研究テーマをもつ先輩でも,協力してくれます.勉強と遊びの切り替えがしっかりできています.
●研究室の皆が明るく,笑いのたえない楽しい場所です.研究や就職活動の際にも,みんなが親身になって助言・協力しあえる人たちばかりです.過ごしやすくて快適な空間です.
●メンバー同士,仲良くて,よく食事に行くなど,和気あいあいを楽しくやっています.
【機械工学を学ぶ理由・きっかけ】
●ものづくりが好きであることが,一番の理由です.ものの構造に直に触れることができる学科なので,機械を専攻しました.
●ものづくりが好きだったので,機械工学を学びたいと思いました.就職率が良いのも,理由の一つです
●機械工学は多岐にわたって必要とされるものだからです.
【高校生の皆さんに伝えたいこと】
●例えば,パソコンを使って3次元CADを学べるし,旋盤・フライス盤などの工作機械や溶接を使って,ものづくりを体感できます.少しでも,ものづくりに興味がある人は楽しく充実した学校生活を送れます.そういうのに興味があれば,オススメです.
●大学は本当に楽しいです.これから一生付き合っていきたい友人・知人もできたし,たくさんの良い思い出もできました.また,機械工学の専門知識を身につけることで,知識を活かせる会社に就職が決まりました.できれば,大学院に進学することをオススメします.

担当教員

大高 武士 准教授

所属エネルギー工学コース 
大高研究室(機械工学1号棟2階)
専門分野流体工学,混相流,伝熱工学
学位博士(工学)(東京都立大学,2005年)
主な研究潜熱を利用した空気冷却、気液二相流
所属学会日本機械学会、空気調和・衛生工学会、自動車技術会、日本マリンエンジニアリング学会、日本混相流学会
電話・FAX電話 099-285-8280
E-mailohtaka@mech.kagoshima-u.ac.jp
※@を半角に直してください
(このメールアドレスへの特定電子メールの送信を拒否いたします)
URLhttp://www.mech.kagoshima-u.ac.jp/~ohtaka/

主要論文・著

学術賞

  1. The 5th International Conference on Green and Sustainable Innovation (ICGSI 2015)
  2. “Moving Toward Green Growth an Green Competitiveness” Outstanding Poster Awardを受賞(2015年11月)
  3. 日本マリンエンジニアリング学会より,奨励賞およびロイドレジスター奨励賞を受賞(2016年5月)

発明・特許

その他

2017年8月23日付け日刊工業新聞社15面,2017年7月28日付け読売新聞12版23面,2017年2月20日付け日刊工業新聞社5面に,研究成果に関連する記事が載っています.